心に秘めた本音を言い出せない、あなたと相手は知らない内に近づいている、そんな曲だと僕は思っています。
では、詳しく見ていきたいと思います。
放った言葉は痛いくらいの熱さを持っている
尖った言葉がいくつか 壁にぶつかって
転がって冷えた
ざわついたまま 静かになって
時間だけがすり抜けた
出だしから「尖った言葉」、なんて比喩表現が出てきます。
尖るということなので、言葉を受け取る側からすると、痛い言葉、言ってほしくない言葉だと思われます。
ただ、その尖った言葉は壁にぶつかって転がってしまいます。
これは相手は受け取ってくれなかった、という表現。
そして、「冷えた」とあります。
言葉には感情が籠もっていて、放った瞬間、相手に届け!とある意味で瞬間的にホットな気持ちを乗せて、相手に言葉を放ちます。
それが受け取ってもらえなかったことにより、自分の感情も瞬間的に冷めてしまった、という表現だと思います。
お互いに思いは違うけど、おそろいの気持ち
誰かが誰か傷つけて だからどちらも 傷ついて
お揃いの気持ちで 離れながら
お揃いの気持ちで側にいた
声が聞きたくて なかなか声が出せなくて
心は何度も 呼んでいるのに
尖った言葉って、言う側からすると「本音」という風になるのでしょうか。
「向こうはきっと言ってほしくないと思っている、でも、ほんとはこうなんだよなぁ。」
これは誰でもあることで、こういう場合って本音を言っても言わなくても、結局どちらかは苦しい思いをして生きています。
相手のことを思ってあげているからこそ、こういった中身は違う「お揃いの気持ち」が出てくるのであって、単純に嫌いな人に本音をぶちまけてやりたいって唄ではないと思います。
嫌いな人の気持ちを考えてあげよう、なんてなかなか出来ることではありません。
心は何度も 呼んでいるのに
心の中では「本音」を言ってあげることが、嘘をつかない、素晴らしい行為だとは分かってはいるけど、相手のことを考えると行動できない、非常に共感できる気持ちを一行でまとめ上げているのは本当に素晴らしいと思います。。。
お互いに思い続けてあげられているのに
怖くて痛くて惨めでも大事で
隠して鍵かけて 忘れたふりして
守ってきた ほんとのほんとが
二人分でずっと 呼び合っているのに
本音を言うと相手が傷つくかもしれない、怖いし関係が崩れるかもしれない。
心の中で渦巻いている、ほんとのほんと「本音」がお互いのことを分かり合うためには重要なことだとは知っているけど、それでは上手くいかないとも分かっている。
どうやってこの本音を伝えれば良いのだろう、主人公と相手は互いにそう思っていることも知らず、悩み続けています。
本音を言うのは正しいのか
大人の顔をしてから 生き方がちょっと
雑になった
普通の事だし 普通が大変で
時間に大体運ばれた
子供の時のように思ったことをはっきりと言えることが正しいと思っている主人公にとって、本音と建前を使い分ける大人の自分は真っ直ぐではないと思っているのでしょう。
大体の人が本音と建前を使い分けているし、これが普通。
でも、自分を押し殺して生きていくのも大変だ、本当は自分らしく、さらけ出して生きていければ一番良いに決まってる。
自分にほんとが来た時はどうだろう
尖った言葉が的確に 胸を貫いて
転がって冷えた
何も出来ないよ 震えながら
押さえつけていくのだろう
側にいる意味を考えて なかなか辿り着けなくて
体はとっくに 解っているのに
自分に尖った言葉が来た時を考えた。
動けなくなるくらい、きっと自分は何も出来なくなるのだろう。
本音を言うこと、建前を使い続けること、どっちが良いんだろう。
体はしっかり動くし、本音を言える準備も整ってるけど、気持ちの方が追いつかない。
1番の歌詞は相手のことを考えると本音を言ってあげることが一番良いと心では解ってる、でも、動けない。
2番の歌詞は自分が本音を言われた時を考えると先程の気持ちとは裏腹にやっぱり、傷つきたくない気持ちも理解できる。
ほんとのほんとを伝える難しさ、葛藤がここの歌詞で更に際立って確認することが出来ます。
生まれた時くらいの裸の声で
動物のままで 育たない声で
鏡みたいに 同時に触って
嘘のない潔白の本音をいつか受け取り合う時が来る。
ずっと書いてきましたが、「ほんとのほんと」とは個人個人の「本音」のことです。
お互いに出そうか、出さまいか悩み続けて守ってきた、本音です。
おそらく、この葛藤や悩みはずっと続いていくものでしょう。
今が終われば今までに戻って、そして今の続きが出来るならそれでもいいよ。
本音が言い出せない、そんなことが生きていく中で度々起こり、お互いの気持ちがぶつかって一瞬だけでも分かり会える時がきっと来るのでしょう。
お互いに本音で傷つけあったことも時の流れが流してくれて、でも、この分かり会えない「ほんとのほんとは」ずっと、相手を思い合う、僕たちを引き寄せてくれる大切なことなんだ。
そんな風に最後を締めくくっていると思います。
本音が言いたくても言えない、そんな葛藤は大人なら誰しもあることですよね。
それは決して悪くないことなんだ、と歌ってくれているこの歌詞は本当にBUMP OF CHICKENらしいなとしみじみ感じております。
ではまた次回。
ino
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