春になってギターを始めましたっていう人が沢山いて、弾き語りをどうやって綺麗な音で録っているんですか?って問い合わせが増えてきているね。
スマホでも簡単に録れるけど、綺麗な音にしたいならパソコンやオーディオインターフェースを使った録音が必要だな。(宅録、DTMなどという)
弾き語り動画を録って動画サイトに投稿したいと思っている方は昨今たくさん増えています。
スマホのカメラ機能のみで録音してしまえば、簡単に動画は作れてしまいますが音質は良いかと言われると微妙なところ。
今回は演奏動画で主流な録音方法を2つ紹介しながら、それに必要な機材を紹介していこうと思います。
配信者やプロの収録機材を見てしまうと自宅で綺麗に録音するなんて、何十万円も掛かるんじゃないかって思われがちですが、そんなことありません。
価格を抑えた選りすぐりの物で揃えると大体、4万円以内で始められるな。(パソコンは除く)
なるべくコスパの良いアイテムを選んで紹介していくので、初めて本格的な録音や配信に挑戦する方におすすめの記事となっています。
弾き語り動画作成の方法は2つ
録音方法 | 特徴 |
①歌とギターを一発撮り | マイクを1本or2本で録音 臨場感・ライブ感が出しやすい、好きなリズム感で演奏できる、歌とギターの音が被る可能性がある、録り直しがしづらい |
②歌とギターを別撮り | マイク1本で録音できる。 録り直ししやすい、それぞれの音を調整しやすい、歌とギターの正確なリズムが必要、臨場感・ライブ感は出しづらい |
一発録りは音源も映像も合わせて録ることになるので、上手くいけば一回で収録が終わるから手間がそこまでないんだ。
音と映像のマッチ感(ライブ感)があるのはこっちだね。
別撮りは①ギター→②歌→③合わせて映像を撮る、っていう流れになるから工程は増える。
だけど、部分的に撮り直しもできて、それぞれの音の調整がしやすいからクオリティは高めやすいんだ。
別撮りはDAWソフトの細かい使い方やリズム(BPM)を完璧に合わせて撮ることを要するのでハードルは少し高いです。
弾き語り動画や臨場感のある映像を撮りたい場合は一発撮り、映像や音声作品として残したい場合は別撮りに取り組むことをお勧めします。
自宅レコーディングに必要な機材
機材 | 予算概算 | 備考 |
パソコン | 50,000円〜 | Corei5、8GBメモリ以上推奨 |
オーディオインターフェース | 6,000円〜 | コンボジャックを2基搭載の機種推奨 |
マイク | 6,000円〜 | 音質がフラットでXLR接続の物を選ぼう |
マイクケーブル | 2,000円〜 | 3mほどあれば十分、コードが柔らかい物を選ぶと使いやすい |
マイクスタンド・アーム | 2,000円〜 | 細かい調整・稼働ができる物が良い |
ポップガード | 2,000円〜 | マイクに掛かる息の音を軽減してくれるので、できればあった方が良い |
イヤホン・ヘッドホン | 3,000円〜 | イヤホンでも良いが、クリック音を聞きながら演奏するのであれば密閉性のあるモニターヘッドホンが◯ |
パソコンは今お持ちの物(Mac、Windowsどちらでも)で大体のDAWソフトが動くはずですが、動作を最低限快適にするためにはスペックのメモリ(8GB以上)とコア数(Corei5以上)を念のため確認することをお勧めします。
8GB、Corei5以上であれば相当重い編集をしたり、たくさん音を重ねない限り普通に動きます、動画編集も高画質・長時間な動画でなければ大丈夫です。
このくらいのスペックであれば安くても5万円くらいからのパソコンになるので購入する際は注意しましょう。
マイク
レコーディングには音が鮮明に録れる「コンデンサーマイク」を使用することをお勧めするぜ。
一発録りをする場合はできれば、2本(それぞれ歌側とギター側)マイクがあるとより音の厚みが増したり、どちらの音も目立たせやすくなります。
多少の音量調整やそれぞれの音を左右に振って聞きやすくすることもできるので、聞く人の事を考えると2本使いが◯
エレアコであれば直接オーディオインターフェースに繋ぐ事ができるけど、おすすめはしません。
シールドを通してしまうとアコギ特有の煌びやかな生音が弱くなってしまい、どうしても電子音っぽさが出てきてしまいます。
1番綺麗なアコギサウンドを録音するにはマイクを使いましょう。
ちなみに低価格帯でおすすめのマイクはmarantz professional(マランツプロ)のMPM-1000、もう少し予算が頑張れる方で男性の場合はAKG(アーカーゲー)のC214、女性の場合はaudio technicaのAT4040です。
MPM-1000 | C214 | AT4040 | |
音質 | フラットで癖がない | 煌びやかで抜けが良い | フラットでクリア |
指向性 | 単一指向性 | 単一指向性 | 単一指向性 |
本体機能 | なし | ローカット、PAD | ローカット、PAD |
価格 | 6,000円ほど | 37,000円ほど | 34,000円ほど |
マランツプロ MPM-1000
1万円以下のコンデンサーマイクは当たり外れが非常に大きいんだけど、MPM-1000は低価格なのに癖がなくフラットで十分な録音ができます。
6,000円前後の低価格で販売されているにも関わらず、本体の作りもしっかりしているし、付属品でショックマウント、XLRケーブル、テーブル用スタンド、マイク風防がセットになっているのはかなりの破格です。
MPM-1000で録音した音声
高音、中音、低音のバランスが良く、突出して際立つ事なく聞きやすいフラットな音質です。
MPM-1000で録音した動画
フラットだけど音がぼやけて聞きづらいことはないから充分過ぎて驚きだな。。
なるべく低コストで始めてみたい方はMPM-1000を2本使って、歌とギターにそれぞれ当てれば何も問題なく始められます。
AKG(アーカーゲー) C214
男性ボーカルにおすすめしたいのはAKGのC214です。
高音域の抜けが良く、男性の低い声やこもった声をクリアに録音してくれるんだ。
AKG1本で録ってみた動画、個人的には自分の声はC214と相性が良いと思っています。
地声が低めでこもって聞こえる方にはぜひ使って頂きたいマイクです。
価格は3万円台と値段は上がりますが、音の密度・情報量の多さ、強弱やマイク距離に対する音質の安定感はやはり違います。
マイクの特徴はそれぞれ違いますが、ベースとなる音質の良さというのは価格に表れてしまうと思います。
逆に地声が高めで、ハイトーンも余裕で歌えて、もっと高音質なマイクが欲しいという方には次に紹介するオーディオテクニカのAT4040をおすすめします。
こちらにはマイクケーブルが付いていないので、一緒に購入しておきましょう。
後ほどマイクケーブルに関しても紹介します。
audio technica AT4040
AT4040で録音した音声
フラットで聞きやすい音質ですが、音圧もあって音の情報量が高く感じ取れます。
AKGより高音に癖がなく、男性でも女性でも使いやすいマルチなマイクと言えます。
より好感度でどんなシチュエーションにも対応したいという方はAT4040を選ぶ事をおすすめします。
オーディオインターフェース
次に必要なのはマイクとパソコンを接続するために必要なオーディオインターフェースです。
価格帯により音質の差や仕様の違いはありますが、対応している接続端子に注意して購入しましょう。
端子の種類 | 特徴 |
XLR | 主にマイクなどを繋ぐ端子 |
ライン端子 | エレキギターやベースなど楽器を繋ぐ端子 |
コンボジャック | XLRとライン端子の両方に対応端子 |
コンデンサーマイクを使用するには基本的に「XLR」または「コンボジャック」が必要です。
最近のオーディオインターフェースにはほとんどXLRとライン端子、またはコンボジャックがセットで搭載されているんだけど、稀に変な組み合わせの物もあるから購入前に確認しておこう。
加えてマイクを動かすためには「ファンタム電源」に対応している機種を選びましょう。
こちらの機能も機種によっては付いていなかったり、Hi-Zというスイッチでマイク用、ライン用と切り替えれたりできる機種もあるので気をつけましょう。
おすすめはSteinberg UR22CとM-Audio M-TRACK DUO
機能的に充実していて、痒いところに手が届く機種がUR22C。
少し機能を削っているけど、宅録には充分使えるコスパの良いM-TRACK DUO。
UR22C | M-TRACK DUO | |
コンボジャック | 2基 | 2基 |
ファンタム電源(+48V) | あり | あり |
音質 | 良好 | 普通 |
付属DAWソフト | Cubase AI | Pro Tools(First M-Audio Edition) |
ループバック機能 | あり | なし |
エフェクト機能 | あり | なし |
価格 | 18,000円ほど | 6,000円ほど |
Steinberg UR22C
コンボジャックが2基搭載、ファンタム電源、USB3.0の高速接続対応で弾き語りに使いやすい機種です。
加えて、この2機種の大きな違いというと付属で内蔵エフェクトが掛けられるかという違いが大きいです。
PCやスマホでライブ配信をする際に専用のエフェクトソフトがあるので設定や互換性を考えずにスムーズに行う事ができます。
マイクで出力した音にリバーブやコンプレッサーを掛けたり、マイク音声と一緒にPCで掛けている音楽や音声を一緒に配信できるループバック機能などを設定できるソフトが用意されています。
これから弾き語り動画と配信もしてみたいという方にはUR22Cを購入しておく事をおすすめします。
無料のDAWソフト(音声を録音して編集できるソフト)のCubase AIが付属しているのでWindowsの方でもDTMの一歩をすぐ始めれられるのは良いですね。
Macをお持ちの方はガレージバンドというDTMソフトが利用できるのでこちらでも使いやすいですし、UR22Cももちろん動作します。
十分すぎる機能と対応力を持っていて尚且つコンパクト、これで2万円を切るの一昔前では驚きの価格。
M-Audio M-Track DUO
ライトな環境で始めてみたいという方は配信の機能は劣るけど、録音に関しては問題なく使えるM-Track DUOがおすすめです。
コンボジャックが2基搭載でファンタム電源付き、ASIOドライバ(音楽制作で使うPC側のドライバ、遅延が少ない)も付いており、DAWソフトも付いて、なんと6,000円ほどで購入できてしまいます。
音質はUR22Cと比べると音の密度や情報量は少し痩せる気がしますが、それでも他の同価格のオーディオインターフェースに比べれば圧倒的に音質は良いです。
UR22Cのようにループバックやエフェクト機能はありませんが、「動画制作」を始めたい方には非常に手に取りやすく失敗のない機種です。
マイクケーブル
続いてはマイクとオーディオインターフェースを繋ぐケーブルが必要だね。
各社様々なケーブルがあるけど、安かろう悪かろうではなく、それぞれの音の特性や耐久性の違いがあるんだ。
先ほど紹介したマイクを使うにはオスとメスのジャックが付いているXLR端子のケーブルを使用します。
ポイント
・同じ種類のケーブルでもメートル数の違いがありますが、自宅で使う分には3mの物を購入しておけば十分です。
・2mだとPCからマイクの距離が短過ぎて(僕のデスクは140cm)個人的に弾きづらかったのでおすすめは3m以上。
・部屋の構造上や画角の問題で距離を取らないといけない場合は5mの物も検討しましょう。
マイクケーブルは基本的に大手メーカーが作っている物であれば、丈夫でノイズの問題も少ないので問題ありません。
主要なメーカー
CANARE、BELDEN、MOGAMI、audio tecnica、OYAIDE、SHURE、BEHRINGER、PROVIDENCE etc..
CANARE EC03-B/BLACK
まずはギターケーブルでもコスパの高い、CANARE(カナレ)のケーブルがおすすめです。
価格は2,000円台で音質もフラットでマイクの特性を邪魔しないクリアな音質です。
ケーブルで迷ったらコスパの良いカナレを買っておけ、と言われるくらいスタンダードで安心のメーカーです。
手頃で耐久性抜群のケーブルなので何を買って良いか分からないって方はカナレのケーブルをまず購入する事をおすすめします。
BELDEN EC_1192A
更に安定した音質、しっかりした接続部、ケーブルのしなやかさを求めるならBELDEN(ベルデン)のケーブルがおすすめ。
多くのプロも使っている有名メーカーのBELDEN。
音質もノイズはなく、クリアでフラットな音質でお値段は3,000円台と少し上がってしまいますが品質は間違いなく上がります。
ケーブルが柔らかくて取り回しがしやすいのもケーブル選びでは重要ですので参考にしてみてください。
個人的にケーブル類は機材の特性を邪魔しない物を選ぶようにしています。
いくら耐久性のある物を選んだとしてもケーブル類はあくまで消耗品です。
そこに変化があると安定した音作りや調整の時間が掛かってしまうので、そこはなるべく「いつも同じ」を継続したいと思っています。
マイクスタンド・アーム
マイクスタンドには大きく分けて2種類あります。
三脚がついていて床に置くマイクスタンド。
デスクなどに取り付けて使うマイクアームだな。
ここは出来るだけ頑丈で安定性のある物を選んで買うのがベスト、個人的に失敗した物が多いところです。
マイクスタンド:KC ブームマイクスタンド MBCS-02
マイクスタンドはKC MBCS-02が個人的には当たりでした。
他にも2,000円台くらいの物を買ってみたりしましたが、三脚の安定性が悪かったり、軸の固定が甘かったりと使いづらい物も多かったです。
KCのマイクスタンドは3,000〜4,000台ですが、頑丈でしっかり固定してくれるのでこのくらいの価格がボーダーラインだと思っています。
微妙なマイクの位置調整などは置き型のマイクスタンドが使いやすいからマイクを2本使いする人は1つ持っておいて損はないな。
マイクアーム:KTSOUL マイクスタンド マイクアーム
2,500〜3,000円でショックマウントやポップガードまで付いてくるお買い得品ですが、頑丈で全く壊れる気配がありません。
アーム部分とマイク部分で左右上下にフレキシブルに動いてくれるので位置調整も結構細かくできます。
マイクアームは場所を取らないし、準備したい時にすぐ展開する事ができるので便利。
マイクを2本使いの人はスタンドとアームを1本ずつ持っておくと色んな対応ができるのでおすすめします。
マイク1本で配信もしたいって方はマイクアーム、あとはお部屋の環境に合わせてスタンドかアームを選ぶようにしてくださいね。
ポップガード
ポップガードはマイクに掛かった息のノイズ(ボッという音)が乗らないように防いでくれる物だよ。
呼気に含まれる水分からマイクを守ってくれる役割もあるんだ。
本当に精密な声を録ろうとするとコンデンサーマイクと口の位置はこぶし1個分の距離で録ると良いとされているんだ。
それだけ近いと声を張ったり、ウィスパーボイスなどを行うとポップノイズが発生してしまいます。
なるべく綺麗な音を録りたい方は購入を検討してみてください。(最初は先ほどのマイクアームに付属のクランプ式のポップガードも試してみてください。)
手軽に購入できて付け替えも簡単、マイクに直接取り付けるポップガードがおすすめです。
アームに取り付けるタイプだと録る度に位置調整をしなくてはいけなかったり、結構手間なんだ。
だから、マイク取り付け式ばかり使ってしまうんだよね。。。
準備が簡単にできるっていうのも継続して楽しむために大事な要素だよな。
あまりに大きいマイクには使えませんが、後ろがゴムバンドで伸び縮みするので大体のマイクには使えます。(先ほど紹介した3種類のマイクにもOK)
金属フィルターなので汚れたりすればすぐに洗えるのも良いところですね。
ヘッドホン
録音した音声やクリック音を聞いたりする物だね。
録音されている音をモニターしながら演奏したり、クリック音を流すなら密閉性の高いヘッドホンが必要だ。
イヤホンだとクリック音などがマイクに入ってしまい、録音に影響が出てしまうので、できればヘッドホンを使用しましょう。
高コスパのヘッドホンといえばaudio technica(オーディオテクニカ)だよね。
オーテクの低価格のヘッドホンは音質に癖がなく、作りもしっかりしているから手に取りやすいよな。
あまりに高音質なヘッドホンよりフラットな音質で聴ける方がモニターヘッドホンには向いているんだ。
色んなヘッドホンを使い倒し、現在はこのヘッドホンに落ち着いています。
低価格なのに密閉感もしっかりあり、ちゃんとヘッドホンの仕事をしています。
クッション性もあって、重量も軽いので着け心地は良く、長時間で耳や頭が痛くなるってことも少ないです。
左右の圧迫感は最初はありましたが、使う内に形状が慣れてくるので今はなんともありません。
価格も6,000円ほどで、下手すると最新のイヤホンとかの方が高いかもしれません、それくらいコスパの良いヘッドホンです。
まとめ:低価格でもちゃんと選べば綺麗に録音できる
低価格の物はたくさん種類があり過ぎて、その分ハズレの確率も高いんだよね。
今回はイノが今まで失敗し続けて、やっとまともに辿り着いたアイテムをラインナップしたぜ!
うう、、弾き語りを始めてこの2、3年間の失敗から学んだ事を皆さんのお役に立てれば、、せめてもの希望です。
どうか僕の屍を超えていってください。
低予算で揃えると
マイク2本使いの予定で
マイク(6,000円×2)
オーディオインターフェース(6,000円)
マイクケーブル(2,500円×2)
マイクスタンド(4,000円)
マイクアーム(2,500円)
ップガード(2,000円(ボーカル側のみ))
ヘッドホン(6,000円)
合計37,500円
4万円弱となると、学生の方でも時給1,000円のバイトを土日それぞれ5時間すれば、およそ1ヶ月で資金を調達できてしまいます。
改めて見ると自宅でレコーディングもそこまで敷居が高い感じはしないね。
マランツプロのマイクには一応マイクケーブルの2mが付属しているからケーブルを省けば、もっとライトに始めることもできるな。
ギター弾き語りは歌とギターしかないので録音の環境で音質がほとんど決まってしまいます。
あとで編集しようと思っても、音の鮮明さやノイズ、音量のバランスなどなど修正が効かないので環境は非常に大事です。
今まで動画をたくさん録って失敗してきた僕だから言えます。
弾き語りの動画撮影や録音を本格的にやろうと悩んでいる方はぜひ、この春・新生活を期に始めてみて欲しいです。
そして、しっかりした環境で楽しく弾き語りを続けくれたら嬉しいなと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
ではまた!
イノ
ライトな環境で始めたい方のセット
もっと良い音質で録りたい方向け