夜にコーヒーを飲むと良くないって分かっていても、食後にどうしても飲みたくなっちゃうんだよね。
コーヒーに含まれる「カフェイン」は脳を覚醒させる作用があるから、夜中に飲むと睡眠の質を低下させてしまうんだよな。(ちなみに猫にコーヒーは禁忌だぜ)
寝る前にカフェインを摂取するのは好ましくないのですが、コーヒーの香りを嗅ぐことはリラックス効果があり、睡眠の質を向上させてくれるという研究結果も出ています。
ここで登場するのがカフェインを除去、あるいは減らしたコーヒーです。
デカフェやカフェインレス、ノンカフェインなんて色々呼び方がありますよね。
こういったコーヒーって今まであまり美味しいな、って思った事がなかったから少し遠ざけていました。
独特の香りや味があって、いつものコーヒーとはまた違ったニュアンスの物が多く、コーヒーとは別物だと考えていました。
しかし、最近「これは、、いつものコーヒーとして楽しめる、、、!」って物に出会えたので記録していきたいと思います。
デカフェ感を感じさせないデカフェ
デカフェの概要やカフェイン摂取については後述することにして、早速今回美味しい!と思ったデカフェをご紹介。
ヤバいデカフェ
今回ご紹介するのは世界一のバリスタを決めるワールド・バリスタ・チャンピオンシップ、第15代チャンピオンの井崎英典さんが製造している「ヤバいデカフェ」です。
ヤバいって、僕の感想ではなくこの製品の名前が「ヤバいデカフェ」なのです。
ヤバいくらいに美味しいってことだな。
井崎さんの奥さんが妊娠をした事から始まった、いつでもカフェインを気にせずに美味しいコーヒーを飲みたいというコーヒー好きに共通する思いを乗せて作られたデカフェです。
妊娠中の方をはじめ、カフェインアレルギーの方、睡眠の質を高めたいビジネスパーソンなどなど、コーヒーは好きなのに飲む事に抵抗がある方にとっては非常に好評なデカフェです。
原料はスペシャルティコーヒーを使用
ヤバいデカフェの始まりは貴重なゲイシャ種の豆をデカフェにした事から始まり、販売されているデカフェも全てスペシャルティコーヒーの豆を使用しています。
今回は浅煎り、深煎り、旬のおすすめコーヒーの3種類が入ったお試しパックを注文してみました。
45g×3パックで135gが¥1,500。
コーヒー豆としては気持ち高価な気がしますが、全てスペシャルティコーヒー豆を使っている事と後述するデカフェの作り方を聞くと安いくらいです。
それぞれのニュアンスは後ほど書きますが、どのブレンドも香りや味のバリエーション、変化する楽しみを大きく感じれるのは確かにスペシャルティコーヒーの味わいでした。
カフェイン除去の方法は超臨界二酸化炭素除去法
デカフェを作る方法は主に3種類あります(後述で詳しく)が、その中でも体にも環境にも優しい二酸化炭素を使った除去方法が使われています。
ただこの除去方は生産コストがまだまだ高いから比例してデカフェの値段も上がってしまう事が多いんだ。
この除去方法はコーヒー豆の旨みを残したまま、ほぼカフェインだけを除去でき、豆を均等にデカフェにできる方法です。
なおかつコーヒー豆の持つ味わいを変化させることも少ないので近年のコーヒー業界では話題になっています。
深煎りブレンド
3種類のブレンドを個人的にデカフェ感が少ないなと思った順番に紹介していきます。
デカフェ感っていうと難しいんだけど、今まで感じたのは「木材の香り」「和室の香り」「蕎麦粉みたい」「穀物感」という風な大地を感じる風味だな(伝わって)
ポイント
・焙煎度的にはメキシコ(シティからフルシティくらい)が8割、エチオピア(ハイローストくらい)が2割くらいのブレンド。
・味わい的には強すぎる苦味は少なく、後味スッキリでエチオピアの華やかな香りも感じられる。
・口に含んだ瞬間コクがあり、しっかりコーヒーを飲んでいるなという感覚を味わえる。
・デカフェ感はほんとに感じない、よく嗅いで噛み締めて飲むと1割くらい感じる。
・時間が経つと更にデカフェ感がなくなり、豆の酸味が感じられ、味の変化も良い。
個人的には3種類の中では1番飲みやすく、深煎りコーヒーらしい味わいがありました。
デカフェ特有の感じが苦手と感じる方は深煎りブレンドが個人的には1番おすすめです。
旬のおすすめブレンド
続いて飲みやすかったのが、旬のおすすめブレンドでした。
「旬」ってくらいだから毎回買う度にブレンドが変わる可能性があるから、一概にデカフェ感の少ないブレンドっていうのも難しいかな。
ポイント
・コロンビア、メキシコ、恐らくエチオピアの3種類が深煎り、中深煎り、中煎りでブレンド、、だと思う。
・3種類の焙煎度の豆により温度変化で苦味、コク、甘み、酸味の変化が大きく感じられる。
・デカフェ感のある香りは深煎りより感じられる。
・深煎りよりスッキリと飲みたい方はこちらがおすすめ。
今回届いたブレンドは比較的飲みやすかったですが、時期によっては浅煎りよりだったり、深煎りよりだったりするかもしれないのでデカフェ感の安定はあまりないかもしれません。
毎回違ったニュアンスのデカフェが楽しみたい、という方にはおすすめのブレンドだと思います。
浅煎りブレンド
1番デカフェ感があったのが、浅煎りブレンドだと思いました。
デカフェ感が悪いわけじゃなくて、特有の香りや味が感じやすいって事だから気を悪くしないでくれよな。
ポイント
・エチオピアが8割、メキシコが2割くらいの浅煎りと中煎りのブレンド。
・袋を開けた瞬間から「自然な大地の香り?」「草木を感じる香り」を個人的には感じました。
・飲むと果実感を強く感じ、酸味もしっかりあり、浅煎りスペシャルティを感じられる。
・時間が経つとデカフェ感は薄れ、優しい甘みと酸味を味わえる。
デカフェ感も感じますが、スペシャルティコーヒーをしっかりと感じたのも浅煎りブレンドでした。
口に含むとフルーツを食べているかのようなジューシーさがあります。
アイスコーヒーにするとデカフェ感をさらに抑えられ、ジューシーにすっきりと飲めると思いました。
スペシャルティ感も1番高いけど、デカフェ感もある噛み締めて飲みたいブレンドですね。
ヤバいデカフェのおすすめドリップ
今回はデカフェをドリップという事で「晩ごはん後に落ち着いてスッキリ飲める」をイメージしてドリップします。
使用器具
味わいは比較的濃く、でも雑味やアクは入れたくないのでコーノの名門フィルターと純正のペーパーを使用します。
名門フィルターはリブが浅く、上からアクの泡が流れにくい構造になっているため、コクがあるけど雑味のないコーヒーが淹れられ、気に入って使っています。
あと、今回は2−4人用の大きめのドリッパーを使用しています。
後ほどご紹介する、おすすめの淹れ方では大きめのドリッパーででなければ難しいので、今回は2−4人を使用します。
コーヒーを受けるサーバーはいつもお使いの物でOK、僕もいつも使っている割れにくいサーバーを使用します。
グラインダーはタイムモアのC2Maxの21クリックがおすすめ、中荒挽きくらいで程よいお湯の落ち具合が保てます。
山善の電気ケトルは1度単位で沸かす事ができるからドリップコーヒーを楽しむのに重宝しています。
注ぎ口も細いので安定してお湯を注ぎやすいのも嬉しい構造です。
今回の淹れ方ではしっかりとグラム数を測って淹れるので、スケールも使用します。
こちらはAmazonで2,000円程度で購入でき、精度も機能も申し分ないのでおすすめです。
スケールはコーヒー以外にも料理や他の重量を計りたいときに何かと便利なので1台あると良いと思います。
個人的に焙煎度を楽しめるお湯の温度
・深煎りは苦味をしっかり楽しみたいので92度。
・旬のブレンドは温度の変化で味わいの変化を楽しみたいので高すぎず低すぎずで88度。
・浅煎りは酸味と甘みを早く楽しみたいので低めの85度。
コーヒーは嗜好品だから、自分の楽しみたい方法で淹れてくれよな。
浅煎りブレンドで苦味を引き出したいって思ったなら、94度とかで試しても違う味わいが楽しめるぞ。
井崎さんおすすめの抽出方法
豆24gに対して300ml淹れる場合
1:全体の注湯量の20%(60g)をゆっくり、粉全体を湿らすように注ぐ。
2:そのまま1分待つ。(蒸らす)
3:再度、全体の注湯量の20%(60g)を中心から円を描くように外側へ注ぐ。
4:更に1分経ったら残りの60%(180g)をやや勢いよく注ぐ。
5:少し水位が下がったら、液面が渦を巻くようにくるくる回るようにドリッパーを揺らすと、より美味しく。
6:ドリッパーからコーヒーが落ち切ったら完成。
これでおよそ280ml程のコーヒーが出来上がります。
ドリッパーを2−4人用にしたのは、4と5の工程が1−2人用だとお湯が入り切らず、ドリッパーを回す事が難しかったからです。(小さいと綺麗に回す事が難しかったです。)
YouTubeでの井崎さんの淹れ方動画ではハリオのV60のドリッパーを使用されていました。
今回は「晩ごはん後に落ち着いてスッキリ飲める」がコンセプトなのでハリオよりアクを感じにくいと思う、名門フィルターを使用しました。
名門フィルターは口当たり柔らかにコクを感じられるけど、口に残る重たさはカットしてくれるのですっきりなのに濃いコーヒーが味わえて楽しいです。
ハリオV60も豆の様々な味わい(ポジティブやネガティブなニュアンスも)を好みに抽出しやすいから、その豆の特徴をしっかり味わいたいって人はハリオもめちゃくちゃおすすめだぞ。
デカフェ・カフェインレス・ノンカフェインの違い
デカフェ
カフェインを含んでいる飲料や材料から特殊な技法でカフェインを取り除いた物。
100%カフェインを取り除いているわけではない。
カフェインレス
カフェインの含有率を0.1%以下に抑えられた物。
ノンカフェイン
カフェインが全く含まれていない物。
ざっくり説明するとこのような感じです。
カフェインレスやノンカフェインのコーヒーって手軽に購入できる物って抽出した物やインスタントコーヒーが多いから物足りない感じがありました。
カフェインを摂取する事のデメリット
カフェインは植物に含まれる成分「アルカロイド」という苦味成分の一種。
カフェインによる覚醒作用は脳内の興奮を抑える「アデノシン」という物質の働きをブロックするからです。
カフェインが効き出すのが15分ぐらい経ってからだから、カフェインを摂取して15分くらい昼寝をすると目覚めがスッキリするのは有名だな。
コーヒーに含まれるカフェインは5時間ほど覚醒効果があるものの、効果が切れた後は無理やり覚醒した脳の疲労が大きいのもデメリット。
カフェインの取りすぎには、その他にもミネラルと言われる、鉄分・カルシウムなどの吸収を阻害する事に繋がるので貧血や骨が脆くなったり、妊婦さんは胎児の成長を阻害する可能性があります。
何事も摂りすぎは体には良くないよね、適量なら影響は少ないと言われているよ。
カフェインは健康な成人で400mg(コーヒー600ml程)
発育途中の中高生は体重×3mgまで
妊婦さんは200mg(コーヒー300ml程)
と海外では推奨の摂取量があるんだ。
日本には明確な摂取基準は設けられておらず、海外の基準値を参考にしました。
カフェインを摂取することで発育に少なからず影響があることは確かです。
極力、小さなお子さん、発育途中の学生さん、妊婦さんはカフェインを抑える事が必要だという事ですね。
でも、コーヒーは好きだからどうしても飲みたい!!
という方が多くいらっしゃると思います。
カフェインを抑えたい人の味方「デカフェ」
デカフェはいろんな定義があるけど、コーヒー豆に関しては生豆の状態からカフェインを取り除いて焙煎したものが主流です。
やはり美味しいコーヒーは挽きたての豆からドリップするのが1番だと思います。
しかし、今までのデカフェには少し欠点や悪い噂がありました。
美味しくない、コーヒーじゃないみたい。
体に悪いのでは?といった話だな。
その理由にはカフェインの抽出方法があります。
デカフェ用の豆を作る主要な方法
ケミカルメソッド
生豆を薬品(ジクロロメタン等)に漬けて、カフェインなどの成分を抽出する方法。
この薬品が体調不良を及ぼす可能性があると言われ、デカフェの悪い噂の原因だと思います。
日本ではこの抽出方法でのデカフェは輸入は禁止されており、触れる機会は少ない。
ウォーターメソッド
簡単に説明すると生豆を水に浸して、豆の様々な成分を溶け出ささせ、そこからほぼカフェインだけを抽出し、残った成分を生豆に戻すという方法。
水を使うのでケミカルメソッドより安全で世界的にもこちらが主流の方法。
スイスウォーター式とマウンテンウォーター式がある。
この二つの方法に共通するのはカフェインだけでなく、その他の成分を溶け出してしまい、味の変化が大きくなってしまう事。
ウォーターメソッドも技術が進化していて以前より普通のコーヒーに近づいていますが、それでもデカフェ特有の香りや味は未だに濃く出ている物が多いです。
最近すごく話題になっている抽出法が「二酸化炭素」を使った抽出法なんだよな。
超臨界二酸化炭素抽出法(除去法)
二酸化炭素を用いる事でほぼカフェインだけを抽出する事ができ、コーヒー豆の旨みを残したデカフェを作る事が可能。
二酸化炭素に一定の温度と圧力を掛ける事で液体と気体の中間も状態になり、豆の隅々まで行き渡る事ができ、短時間で効率的にカフェインを除去できる。(約90%除去)
二酸化炭素を使用するので廃棄物が少なく、人体にも影響がなく、環境負荷が少ないため近年では研究が進んでいる。
ヤバいデカフェもこの除去方法を使って、デカフェを製造しています。
現状は導入コストが高くて、応じてデカフェの値段も上がっているんです。
美味しいのには長く苦しい研究と努力が理由としてはあるんですね。
ヤバいデカフェはヤバいくらい美味しいコーヒーだった
スペシャルティ×超臨界二酸化炭素除去法×研究された焙煎度のブレンド。
こだわりにこだわったハイクオリティのデカフェを味わえました。
ヤバいデカフェを飲んだ後でも寝つきは良いし、コーヒーの香りのおかげで朝もスッキリ起きられるから、イノも驚いてたな。
価格は比較的高いので毎日飲むことは難しいですが、どうしても夜にコーヒーを飲みたい、、でも眠れなくなるのは、、、って時の救世主だと感動しました。
夜中に何も気にせず、たまーにちょっとお高めのコーヒーを飲めるって非常に幸福感が高まります。
お家の中でコーヒーの香りに囲まれながら、のんびりとしたひと時を楽しんでみるのはいかがでしょうか?
今回はこの辺で。
ではまた!
イノ