2021年11月1日にBUMP OF CHICKENの新曲、「Small world」がリリースされました。
タイトルを直訳すると、「小さな世界」
歌詞の中には「ささやかな世界」という言葉が出てきます、ささやかとは小ぢんまりと目立たない様という意味があります。
この「Small world」という言葉にはどういった意味があるのか、個人的なものにはなりますが、歌詞の解釈をしていきたいと思います。
自分にしか分からない世界
いろいろと下手くそな僕は この道しか歩いて来られなかった 出来るだけ転ばないように そして君に出会えた
この歌詞を書いた藤原さん。
バンドとして大活躍していますし、沢山のアーティストさんからも一目置かれる存在として今をときめくアーティストです。
しかし、そんな輝かしい場所にいるような人でも、僕は不器用だし、音楽に何とかしがみついて歩いてきたと言っているのです。
そして君に出会えた。
今聞いてくれたあなたに会えた、というのが冒頭の歌詞で僕は捉えることが出来ました。
まぶた閉じてから寝るまでの 分けられない一人だけの世界で 必ず向き合う寂しさを きっと君も持っている
真っ暗にして目を瞑ると何故か分からないけど、その日あった嫌だったこと、昔あった辛かったこと、明日への不安。
そんなことが不思議とまぶたの裏に浮かぶ事、この記事を読んでくれているあなたにもあるのではないでしょうか。
それは藤原さんも一緒なのです。
過去に藤原さんはこのような事を言っています。
歌詞は今まで自分が感じたことや経験したことしか書けない。
藤原さんも僕たちと同じ様に他人には分かってもらう事が難しい気持ちを抱えているから、このような歌詞が生まれてきたのだと思います。
不安に押しつぶされそうになったり、人には話せないような気持ちは誰にでもあることですよね。
秘密のため息は 夕日に預けて 沈めて隠してた事 どうしてわかるの 同じだったから
辛いことや嫌だったこと、それをため息にすら出せずに明日を迎えたこと。
抱える内容は違えど、気持ちはわかる、似たような、同じ様な境遇を経験したから。
自分の弱さを知っているからこそ、相手の気持ちも分かることができるのです。
名前も知らないあなたと作る小さな世界
散らばった願いの欠片で照らされた夜も どこかへ向かうパレードも 誰かの歌う声も 僕らにはひとつも 関係ないもの 一緒に笑ったら その時だけは全部 僕らのもの
BUMPの音楽に共感して聴いている人はたくさんいますが、どのような気持ちで聴いているかなんて全くわからないし、理解が出来ないかもしれない。
ライブに行っても、隣にいる人は泣いていたり、笑っていたり様々です。
でも、その空間を感じて笑顔になることが出来たのなら、形は違えど同じような気持ちで名前も素性も知らない人たちと繋がった喜びをみんなで感じることができるのではないでしょうか。
全くの他人だった人達が似た気持ちで同じ世界に繋がることが出来るのです。
僕に君は救えない、でも側にいる
すぐに言葉間違えそうで 傷付けたり怒らせたりしそうで 気をつけるようにしていたら ただ喋れなくなっていた
君だけの思い出の中の 君の側にはどうやったって行けないのに 涙はそこからやってくる せめて今 側にいる
どうしたら上手く話せるんだろう、伝わるんだろう、今言ったこと相手はどう受け取ったんだろう。
考える度に話さなければ、何もしなければ、相手を傷付けたり怒らせたりすることもないし楽に感じてしまうこと、自分にもあります。
時には勇気を出して言葉にして伝えたこともあるでしょう。
それで相手を傷付けてしまったり、はたまた自分が傷ついたり、大きさは違っても傷を負って臆病になってしまった過去もあるかもしれません。
そんなあなたの過去へ行って、直接救いたいけど、それは絶対に出来ないこと。
でも僕には今あなたと似たような気持ちを抱えている、それが分かるからあなたの気持ちに寄り添うことができる。
隣で涙を流した人がいたら、この人も僕と同じため息にも出来ない、そんな涙を流しているときっと分かってあげられる。
そういう小さいけれど、確かに繋がる気持ちをこの曲の歌詞では感じることができるのです。
まんまるの月は叶わなかった光を映す、照らされるのは同じ人たち
そうしたいと思うのは そうしてもらったから 何も喋らないのにさ まんまるの月が 君の目に映る
叶わないままの夢はどんな光より綺麗で 変われないのに変わりたいままだから苦しくて 流れ星ひとつも 気付けなくても 君を見つけて 見つけてもらった僕は 僕でよかった
月というのは太陽に照らされて、見つけることができるものです。
太陽は自分で光ることができる存在、もしかすると自分が追い求めていた理想の光かもしれません。
でも現実はその光を受けることはできずに失敗や苦しいことの連続です。
いつしか夜になり、あなたの目に映るのは太陽の光を受けた、ひとつの欠けもない、まんまるの月なのです。
暗い夜にあなたを照らす光は悲しいほどに愛しくて眩しくて、どんな光よりも綺麗に見えてしまうでしょう。
しかし、その月の光を受けたのは決してあなただけではありません。
どんな暗闇の中にいたとしても、あなたと同じ様な気持ちを抱えた人達も一緒に照らされているのです。
その月の存在に気付くことが出来たなら、自分ひとりがこんな状況ではないと少し勇気付けることができるのではないでしょうか。
現実の流れ星とは宇宙空間の塵が地球の大気にものすごい勢いで触れて光を放つ現象で塵は燃え尽きて大気に消えていきます。
そんな一瞬の熱量、あなたの抱えている吐き出したい気持ち、はたまたこの歌詞を書いた藤原さんの伝えたい気持ち。
それすらも気付けなくても、今この気持ちで繋がれたことはあなたがあなただったから、僕が僕であったから同じ光に照らされることが出来たのです。
あなたの側にいることが出来たのならこの曲を書いた藤原さんはこんな僕でよかったと言っているのだと思います。
世界には取るに足らない、ささやかな世界は繋がる
散らばった願いの欠片で照らされた夜も どこかへ向かうパレードも 誰かの歌う声も 僕らにはひとつも 関係ないもの 一緒に笑ったら その時だけは全部 誰にも気付けないくらい ささやかな世界の中でも 僕らのもの 僕らのもの
誰かの夢や希望、願いが詰まった気持ちが崩れてしまった時も
どこへ向かっているかも分からず歩く人波や
どこからか聞こえてくる楽しそうな歌声も
全部全部、他の人には関係ない、自分とは別の世界のものだけど、
その中で一瞬でも自分と同じような気持ちの人に気付けたら、その世界は自分だけではなく、分かり合える「僕らのもの」へと変わるのです。
そんな優しい気持ちに気付かせてくれる歌詞だと思います。
どうしてわかるの 同じだったから まんまるの月が 君の目に映る 夜が騒ぐ ポップコーン転がってる クライマックスのパレード 関係ない世界が 僕らを飲み込む ルララ ルララ
暗くて寂しかった夜でしたが、まんまるの月に気付いた人達のおかげで、前向きな世界へと変わっていきます。
自分の弱さを知っているからこそ、気付き繋がる世界がある。
ポップコーンは誰かの好きで食べてたんだろうか、それとも嫌いだから転がったのだろうか。
騒ぐ人達は知らない人達、でも繋がって気分は最高潮。
関係のない世界にも自分と繋がる世界がある、飲み込まれても怖くないんだ。
最後に:すみっコ達もみんな何か抱えている
暑さが苦手で北から逃げてきた「しろくま」や食べ残された脂身の端っこ「とんかつ」、手足が短くてスタイルの良い猫に憧れる「ねこ」などなど
この曲が主題歌になる映画「すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」のキャラクター、「すみっコ」達も何かしらネガティブな部分を持っています。
映画に登場する新しいキャラクター、魔法使いの「ふぁいぶ」も魔法が上手く使えないという一面があります。
まだ映画は見れていませんが、そんなふぁいぶを同じ様にどこか自分に自身のないすみっコ達が一生懸命助けてあげている映像が「Small world」を聞くと容易に想像できます。
最初、すみっコぐらし✕BUMP OF CHICKENと聞いた時は驚きましたが、可愛いくて優しいすみっコぐらしの世界にもぴったりな楽曲だなと解釈をしていて、しみじみ感じました。
小さな世界といえば、2021年11月14日20時から配信される、25周年記念スタジオライブ「Silver jubilee」もBUMP OF CHICKENとしても初の試みだし、曲が生まれるスタジオという小さな世界からどんなライブが生まれるのか非常に興味津々です。
20周年のライブDVDでも見ながら、あと1週間ほど待ちましょうかね。
ではまた!
ino